研究課題/領域番号 |
11125205
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松田 康弘 東京大学, 物性研究所, 助手 (10292757)
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研究分担者 |
三浦 登 東京大学, 物性研究所, 教授 (70010949)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 超強磁場 / サイクロトロン共鳴 / 希薄磁性半導体 |
研究概要 |
希薄磁性半導体Cd_<1-x>Mn_xTe、In_<1-x>Mn_xAsについて、100T以上の超強磁場下で電子のサイクロトロン共鳴を観測した。サイクロトロン質量はMn濃度xによって大きく変化する。変化の符号はバンドギャップのxによる変化の符号と等しく、Cd_<1-x>Mn_xTeでは正、In_<1-x>Mn_xAsでは負となる。室温近傍での電子の有効質量は実効値として、Cd_<1-x>Mn_xTe、In_<1-x>Mn_xAsそれぞれについて0.091+0.12x(m_0)、0.0235-0.030x(m_0)と得られた。これらの知見はDMSを用いたデバイスの設計などの観点から重要であると考えられる。 また、サイクロトロン質量の温度変化のx依存性から、電子のサイクロトロン運動がs(p)-d交換相互作用を介した磁化の影響を強く受けていることを明らかにした。平均場近似の描像に基づいた8バンドのk・p摂動によって、超強磁場下での電子のサイクロトロン質量を計算し、その温度依存性を各Mn濃度について調べたところ、計算は実験で得られた傾向を半定量的に説明することがわかった。しかしながら、温度による変化率の絶対値は計算では実験値の半分程度となり、定量的には説明することができなかった。結晶の歪みや格子欠陥、または平均場近似的なs(p)-d交換相互作用の取り扱いの限界に起因した理由が考えられるが、現状ではその起源は不明である。仮に、平均場近似を超える理論的な取り扱いが重要であることが証明できれば、磁気ポーラロン問題や強相関物質における有効質量の問題とも深く関わった問題となり、電子相関が顕著になる場合の電子の運動に関して新たな知見を与えると期待できる。
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