研究概要 |
B中間子稀崩壊を使って標準模型とそれを超える理論を判別する方法を提案した.(1,2) 1.論文New Physics effects in B→K(*)νν decayでは,レプトン数も破るような一般のFour fermi相互作用を書き,それぞれの相互作用が終状態のK(*)中間子のエネルギースペクトルにどのような影響を与えるかを調べ,標準模型のスペクトルと比較した. 2.論文Azimuthal angle distribution in B→K^*(Kπ)ll...では,B→K^*γに寄与しうる2つの相互作用(右巻き,左巻きのK^*をそれぞれ生成する振幅)の相対的な大きさを決める方法を提案した。これはB→K^*γの崩壊幅では判定できないので左右対称模型などの効果を標準模型と区別する新たな方法である.具体的にはB→K^*(Kπ)llのdileptonの低エネルギー領域でのKπ崩壊面とll崩壊面のなす角に対する角度分布がK^*の偏極の仕方(右巻き,左巻き)に依存しており,標準模型ではこの分布は角度に依存しないが,右巻き,左巻きが同程度に生成される模型では大きな角度分布が現れることがわかった。この大きな角度分布を標準模型のそれと区別するには10^<10>個のB中間子が必要になる. 3.論文Penguin diagrams....ではK中間子崩壊で直接的CP対称性の破れε'/εが在ることが実験的に確立されたので,標準模型で非線形のσ模型とFactorizationの仮定の下でε'/εとΔI=1/2ruleが両立するか調べた.我々の用いたσ模型にはscalar中間子が組み込まれ,これがPenguin diagramの寄与を大きくするがε'/εとΔI=1/2ruleを同時には説明できないことがわかった.これはFactorizationの仮定がΔI=1/2ruleに対しては良くないためであると推測できる. 4.論文Neutrino mixing in the seesaw modelでは大気Neutrinoで観測されている大きなmixingがシーソー模型でどのように説明できるかを議論した。Majorana質量項があるため,シーソー質量行列の対角化はクオークの質量行列の対角化と異なっており,通常の小林益川角に対応する部分(湯川結合からくる部分)にmixingがない条件をおいても,大きな混合が起こることがわかった.
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