研究概要 |
加工組立型産業地域における生産プロセスのネットワーク化とこれによるゼロエミッション化のためのデータベース(DB)の構築および評価を行うことを目的として研究を行い,以下の成果を得た. (1)ゼロエミッションのための排出物データベースの創成:群馬県太田市を中心とし,運送時間約1時間の地域(群馬県東毛地区,栃木県西南地域)を対象として,工場へのアンケート調査を行い,排出物交換情報として開設したインターネット上のオンラインデータベース(OLDB)に公開し,これらの副産物化と交換による地域内の物質循環とゼロエミッション化を図った.その結果,リアルタイム情報の重要性と交換者相互の信頼関係が重要であることが明らかになった.一方,排出物の解析結果には,排プラスチック,排油やスラッジなどが排出量の上位を占めており,加工組立型産業地域における排出物の特性が明らかとなった. (2)副産物化と物質循環のための排出物の利用法・利用技術DBの創成:排出物DBの解析結果に基づいて,(a)生産プロセスとしての材料再生と工場配置マップ,(b)利用技術,副産物化ファクトDB,(c)利用法に関する研究・試験機関についてのOLDBを作製した.加工組立型産業地域においては,排プラスチックなどの材料再生プロセスを一つの生産プロセスとして新たに位置付けた物質循環のためのネットワーク形成が重要であり,本研究では,地域内の工場の所在分布,工場の設備,能力,排プラスチックの受入条件等の情報を実地調査した.OLDB上に公開されたこれらの工場には,当初予想されたプラスチック成形工場ばかりでなく,他の産業からの問い合わせがあり,DBとして良好に機能していることが明らかとなった.以上の結果,加工組立型産業地域におけるゼロエミッションのための有効なデータベースと,オンライン・データベースの有効性が明らかとなった.
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