研究概要 |
家庭内の化学物質,買い物袋,生ごみ(厨芥)に着目し,市民のライフスタイルの変更にともなう環境負荷について定量的に検討した。家庭内の化学物質として,電池類や小型家電製品,洗剤・漂白剤,農薬類などの化学薬品を対象に,使用の有無,年間購入量および使用量,廃棄方法などについて,市民にアンケートを行ったところ,捨て方がわからないために家庭で保管されている例も多く,適切な回収システムが求められていることがわかった。 つづいて,買い物袋の持参運動に着目した。都市ごみの細組成調査により,ごみとして排出されている買い物袋は,容積で10.2%を占めており,買い物袋を持参し,レジで袋を断ることで,約1割のごみの削減が可能であった。さらに,生成時のエネルギー量や廃棄物処理に伴う温室効果ガスの排出量,買い物袋の原料の製造エネルギーおよび製品自体のもつエネルギー,製造時及び焼却処理時に発生するCO_2を算出し,市民一人一人が布製の買物袋を持ち歩いて5年間使う場合と比較したところ,廃棄物重量では年間285x10^3トン,CO_2発生量では年間421x10^6kg-C,エネルギー量では,原材料の持つエネルギー分まで加えると,年間5089x10^9kcalが削減可能であった。 家庭ごみの40%(湿重量比)を占める厨芥について,細組成調査より調理くずと食べ残しに分類すると,厨芥中の食べ残しは35,7%を占めた。都市ごみの年間発生量が約5000万トンであることから,厨芥類は2000万トン,食べ残しの量は年間約710万トンとなり,一世帯あたり,一週間に平均3.2kgを食べ残しとして捨てていた。また食べ残しによるエネルギーの損失は,年間で3018x10^<10>kcal,また食べ残し自身のエネルギー,1314x10^<10>kcal/年は1800万人が生活できる食糧に相当した。
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