研究概要 |
建築材料のゼロエミ化の可能性を図るために、他産業からの廃棄物の受け入れ、建設材料自身の再生化、その環境中での安全性を目標に研究を展開した。 岡山県ではアンケート調査をもとに建設廃棄物の中間処理割合を算出したが、それは約5割でなお半分が廃棄物として排出されている。このうちの5割は廃コンクリートであり、コンクリートの発生量を推定するための原単位を、新築家屋の材料を積算することによって推定できた。 安全性の指標として、焼却灰を原料としたセメントからは、中性では重金属の溶出はほとんど観察できなかった。しかし、pHを4.5にあげると有害重金属の溶出が認められ、pHを下げることのリスクを示し得た。逆に言えば、通常の環境条件であるならば、短期の溶出は考えなくともよいことが示唆される。 また新技術として、コンクリートの凝結時間を自由に調整できる技術を確立した。銅スラグに含まれるコンクリートの凝結を遅延させる物質が塩基性炭酸銅であるならば,塩基性炭酸銅を酸化銅に変化させればコンクリートの凝結遅延は治まるはずである.水溶液中で塩基性炭酸銅を酸化銅に変える方法として一般に用いられるのは,水溶液を高アルカリにし,そこにアンモニアを添加する方法である.もし,コンクリート中においても同様の反応が生じるのであれば,コンクリートは高アルカリであるから,アンモニアまたは尿素を添加するだけで,塩基性炭酸銅は酸化銅に変化し,凝結遅延も治まることが推察され、アンモニアの効果によって,凝結時間が半分程度にめることが確かめられた。
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