研究概要 |
本研究では,各種産業から排出される有機性副産物のフロー解析の結果に基づき,有機性副産物を炭化し,得られた炭素の高度資源化を図り,炭素循環を基本とする持続可能なリサイクル技術を構築することを目的とし,従来の炭素材料にはない特徴を有する炭素材料の製造を行い,高付加価値を有する炭素材料として再利用するための技術を開発した。 繊維のリサイクルを推進するための技術開発を指向して,綿100%のタオルを選択し,炭素材料を製造した。一般的な活性炭の製造法は,原料を炭化処理後,さらに炭化物を水蒸気賦活処理しなければならない。しかし,空気賦活による炭素材料の製造は,低エネルギー,ボイラーが不要,製造コストの安価などの特徴を有する。綿100%のタオルを900℃,60分間炭化および空気賦活処理した場合,炭素材料の比表面積および細孔容積は,窒素雰囲気下600℃で60分間炭化した炭化物の値に比べ高値を示した。また,空気賦活炭素材料による4-ノニルフェノールの除去能は,綿由来水蒸気賦活炭素材料とほぼ同程度であった。綿実は,綿実油を得るため一年間に17万トン輸入されている。綿実より機械的に分別した外殻を粉砕した綿実ハルブランより炭素材料を製造した。綿実殻を900℃で,2時間または4時間炭化,空気賦活した炭素材料による4-ノニルフェノールの除去量を測定した。その結果,4時間炭化したものの4-ノニルフェノール吸着量は,2時間炭化のものに比べ約5倍となった。 本研究の結果より,綿および綿実殻由来炭素材料の空気賦活による製法は,有害物質除去材を安価かつ低エネルギーで製造でき,さらに,タオルより製造した炭素材料の形状は繊維状であり,吸着速度も速いなど,繊維のリサイクルに有用であることが明らかになった。
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