研究概要 |
事例ベース推論による概念学習において,概念を表現するために必要最小限の事例の集合のことを,本研究ではクリティカルな事例の集合と呼ぶ.本研究の目的は,このクリティカルな事例集合を発見するための手法の提案およびその手法の理論的解析を行なうことと実際の応用分野への適用を行なってその有効性を検証することである. 本研究の成果は以下である. 未知の論理関数に関するクリティカルな事例ベースの近似構築法の提案 今まで我々が行なってきた集合の包含関係に基づく類似度を使った事例ベース推論により,1つの事例ベースは論理関数を表現する.このことから,未知の論理関数に対して,サンプリングおよび所属性質問を行なうことにより,クリティカルな事例ベースを近似する手法を提案した. 上記手法のPAC学習による解析 事例の集合に確立分布を導入することにより,上記手法のPAC学習による解析を行なった.それによれば,アルゴリズムの出力の事例ベースによる分類誤りがεを超える確率がδを超えないようにでき,さらに,論理関数fに対して,fを表現するのに必要な事例ベースの最小の大きさが,|DNF(f)|をfの選言標準形の最小サイズ,|CNF(f)|を連言標準形の最小サイズとしたとき,事例のサンプル数が,たかだか(1/εln1/δ)・|DNF(f)|・(1+|CNF(f)|)であり,アルゴリズム中で必要な所属性質問の数はたかだかn^2・|DNF(f)|・|CNF(f)|となる.
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