本研究ではエアロゾル、雲、放射の地上観測と衛星データおよび定常気象観測データの解析から、エアロゾルが雲に及ぼす影響が日本付近でどの程度あるのかということを定量的に評価し、地球の放射収支ひいては気候変動メカニズムの解明に資することを目的とする。 平成11年度は、引き続き衛星データの解析を進めるとともに、平成10年度に新たに購入したパーティクルカウンターを用いて、他の測器と合わせて東北大学で集中観測を行うとともに、得られた結果を総合的に解析し、エアロゾルと雲の分布と変動の関係を調べた。 夏のヤマセ雲の場合には、雲粒がかなり大きく、空気塊も海洋性のものが侵入してくるため、青葉山の東北大学の観測地点でも大きな雲粒が観測された。また、冬の雲は不均質性が大きく、衛星から定量的な観測を行うのは困難であるが、今のところ、本観測においては人為的なエアロゾルによって雲の微物理特性が影響を受けているような例は見出されていない。
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