研究課題/領域番号 |
11132260
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 瑞夫 九州大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10165657)
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研究分担者 |
村田 正治 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30304744)
片山 佳樹 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70284528)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 高分子ミセル / DNA / 遺伝子 / 分子認識 / 刺激応答性高分子 / 感熱性高分子 |
研究概要 |
我々はこれまでに、末端ビニル化チミン12量体(T12)とNIPAAmを共重合して得られるコポリマーが、相転移温度(35℃)以上において高分子ミセルを形成すること、相補配列(A12)の存在下のみで、ミセル間の会合が起こり沈殿を生じることを明らかにした。しかし、T12に対するA12の添加では、A12が2つのT12に橋渡しする形で2本鎖を形成してミセル間の架橋を起こしたためにミセルが凝集した可能性も考えられた。そこで今回、その様な可能性のない、ras遺伝子の部分配列を有するコポリマーを用いて、相補鎖認識によるミセル凝集のメカニズムを詳細に検討した。今回合成したコポリマーは、相転移温度以上でDNA鎖の導入量により、30nm〜100nmの平均粒径を持つ、ポリマーミセルを形成した。この高分子ミセルに、Mg^<2+>を添加していくとミセル粒径が増加し、30nmM添加時では温度の上昇により、急激な光透過度の現象が見られた。これは、ミセル同士が会合して大きな凝集体を形成したことを意味する。そこで、相補鎖の存在下と非存在下において、Mg^<2+>あるいはNa^+の濃度を変化させてミセル溶液の光透過度変化を測定した。その結果、相補鎖が存在する場合は、しない場合に比べてより低濃度の金属イオンで凝集が起こることが明らかとなった。すなわち、前回見出した相補鎖によるミセルの凝集現象は、存在する金属イオンによるものであり、その際用いた金属イオン濃度と温度が、相補鎖が存在しないときには凝集しないが、相補鎖の存在で凝集する領域であったことがわかった。その他、種々の検討により、相補鎖の効果は2本鎖形成に基づくことが示唆された。一塩基だけがミスマッチとなった配列ではこの様な凝集は見られず、この現象は極めて配列特異的に生じる現象であった。すなわち、このポリマーミセルは熱応答的に形成・崩壊させることができ、また表層のDNAは分子認識素子として機能することが明らかなった。
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