研究課題/領域番号 |
11133206
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 長夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60124575)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | フタロシアニン / 低対称 / 電子吸収スペクトル / 磁器円偏光二色性 / 分子軌道計算 |
研究概要 |
フタロシアニン (Pc) の平面2量体を合成し、それらの電子吸収、磁器円偏向ニ色性スペクトルを測定し、ガウシアン曲線を用いた成分分解を行なって、各バンドの帰属を行なった。これらはπ電子近似を用いた分子軌道計算の結果とも非常に良く一致した。現在投稿中である。C2v型のナフタロシアニン (Nc) 誘導体を合成し、それらが通常のNc誘導体と同じく、近赤外色素として使用できる事を示した (chem. Lettに発表) 。これらは以前我々によって予言されていた物であるが、実験的に証明した事になる。また低対称Pcの極みとして光学活性Pcを調製し、それらのCDスペクトルの発生機構、符号とコンフォメーションの関係を導出し、J. Aam. Chem. Soc.に発表した。Pcの側鎖に光学活性なビナフチル基を複数個結合して達成したものであるが、Pc環からの距離、位置が明確なため、CDスペクトルの強度まで正確算出でき、非常に教科書的な仕事となった。2種類のフタロニトリル誘導体を縮合させ、低対称Pcを全てより分け、それらが第一励起状態において偶然縮重していること、またPc環の歪みが酸化還元電位と相関関係にあることを見いだしChem.Lett.に発表した。今までPc環の歪みは報告されておらず、理論計算による歪みの大きさも含めて、Pcとして初めての例である。対称性を下げるには2つ或いはそれ以上のPc環を層状に積層する方法もある。そこでNcを2つ希土類元素の一つであるユウーロピウムを用いて対面型に積層した。Ncの方がPcより骨格が大きく、全ての測定に対し敏感にその効果が現れるからである。その結果、近赤外領域に大きな電子吸収スペクトルが現れ、またEPRスペクトルにおいてはラジカルな信号が得られた。可視部の吸収スペクトルの形は、対応する対面型Pc2量体とは大きく異なっていたが、根本的にはπ系が拡大した事以外には大きな変化が無い事が証明された。これらの結果はInog. Chem.に発表した。
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