研究概要 |
有機化合物を主体にした超分子化学が反応場の創世・分子認識等の観点から盛んに研究されている.しかし,個体物性の観点からはまだ未開であり,本研究では磁性超分子構築を目指し次の2点に的を絞り研究を行った. (1) スピン多重項を基底状態に持つ金属錯体の合成とその集積化. σスピンを持つ金属イオンと三重項基底ビラジカル配位子により基底多重項ニッケルおよび銅錯体を合成した.さらに,シアン化合物イオンにより錯体分子を集積化することにより,有機ラジカルクラスター金属錯体の合成に成功した. (2) 磁性超分子の構築 ビピリジンなどのポリピリジル配位子と銅(I)や銀(I)イオンとの組み合わせにより,キラルな二重らせん構造やグリッド構造など多彩な多次元構造をつくる.本研究では種々のポリピリジルタイプのイミノ-ニトロキシド-ポリラジカルを合成し,銀(I)イオンで集合化させることによりヘリカルでキラルな磁性超分子構築を合成した.
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