研究課題/領域番号 |
11133216
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
狩野 直和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00302810)
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研究分担者 |
川島 隆幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011766)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | プルンビレン / プルンバンチオン / トリチオカーボナート / X線解析 / 脱離反応 / 挿入反応 / 二価鉛化合物 / 二硫化炭素 |
研究概要 |
炭素置換有機鉛二価化合物(プルンビレン)については、これまでの予備的研究から、立体保護基として非常にかさ高いアリール基を用いてジアリールプルンビレン1の合成に成功している。本年度はプルンビレンの反応性および構造に関する置換基の影響を調べるために、ジアリールプルンビレン1の単離とX線構造解析を行うとともに、炭素置換基と硫黄置換基を共に有するアリール(アリールチオ)プルンビレン2の合成および硫黄置換基のみを有するビス(アリールチオ)プルンビレンの合成を行った。合成には鉛一硫黄二重結合化合物プルンバンチオンにおけるAr基の転位反応という鉛の性質を活かした方法を用いた。2についてX線解析を行い炭素置換プルンビレンと比較したところ、鉛と置換基のなす結合角がより狭いV字型構造を有していることがわかった。またアルキルハライドや単体硫黄等の各種試剤による2の捕捉反応を検討したところ、炭素置換基の場合と異なり何れの場合にも付加体が得られなかったが、二硫化炭素との反応の場合には鉛一硫黄結合に二硫化炭素分子が挿入した後に不均化したと考えられる鉛(II)[ビス(アリールトリチオカーボナート)]3が生成した。この反応性の差異は置換基の電子的効果に因るものであり興味深い。得られた鉛錯体を加熱して二硫化炭素を脱離させることにより、硫黄置換プルンビレン4を合成出来た。硫黄置換プルンビレン4は^<207>Pb NMRにより炭素置換の場合と同様に単量体であることがわかった。また、生成した硫黄置換プルンビレン4に対して再び二硫化炭素を作用させることで鉛一硫黄結合に二硫化炭素二分子が挿入し、もとの鉛錯体3が再生した。すなわち二硫化炭素分子の挿入・脱離に伴い、二価鉛原子の配位状態を二配位から四配位へと熱によって可逆的に制御可能であるという興味ある結果が得られた。以上のように本研究は計画通り遂行することが出来た。
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