研究課題/領域番号 |
11133227
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北川 敏一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20183791)
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研究分担者 |
竹内 賢一 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026358)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | π共役炭化水素 / フラーレン / 求電子付加 / S_N1反応速度 / 炭素陽イオン / 炭素陰イオン / 炭素-炭素共有結合 / イオン解離 |
研究概要 |
1.新しいπ共役イオンとしてのモノアルキルフラーレンカチオンの性質 従来発生が困難と考えられて来たカチオン種RC_<60>^+の性質を明らかにするために、AlCl_3存在下でC_<60>に対するクロロアルカンRClの求電子付加を検討した。その結果、ポリクロロアルカン類はC_<60>に容易に付加し、モノ付加体RC_<60>Clを高収率で与えたの対し、モノクロロアルカンは付加体を与えず、クロロアルカン由来のオレフィンの重合によるポリマーが多量に生成した。この事実から、中間体カチオンRC_<60>^+が塩素原子の分子内配位による安定化を受けない場合にはC_<60>への求電子付加が著しく不利になることを示された。付加体Cl_2CH-C_<60>-Clのアニソール-CF_3CH_2OH(9:1)中におけるS_N1反応速度は、同一条件下でのt-BuClの反応速度の70倍であることが明らかになり、中間体イオンCl_2CH-C_<60>^+が単純な第3級アルキルカチオンを上回る安定性を有することが示された。 2.t-BuC_<60>^-とカルボカチオンとの反応における共有結合生成と炭化水素塩生成の選択性 安定アニオンとして知られているt-BuC_<60>^-と種々のシクロプロペニリウムイオンの結合反応を検討し、1)カチオンの熱力学的安定性が高い場合、またはカチオンが立体的に大きな置換基を持つ場合には、C-C結合を形成せず炭化水素塩を与えること、2)カチオン安定性が十分でない場合にはC-C結合形成により共有結合性炭化水素を与えるが、この結合は極性溶媒中で可逆的にイオン解離を起こし、もとのカチオンとアニオンを再生することを見つけた。この結果から、フラーレン骨格の特質によるt-BuC_<60>^-の高い熱力学的安定性に基づいて各種の特異な炭化水素が合成できること、またイオン間のC-C結合の形成が、イオン種の安定性、立体効果、溶媒効果により制御可能であることが示された。
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