研究課題/領域番号 |
11133238
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上山 憲一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80093376)
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研究分担者 |
岡村 高明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90252569)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | NH…S水素結合 / 金属-硫黄結合 / NH…O水素結合 / 金属酵素 / P-450モデル / catalaseモデル |
研究概要 |
本年度、P-450モデル錯体の合成と構造、性質の研究により、Fe-S結合距離がNH…S水素結合によって長くなるが、その結合は水素結合によって逆に安定になることがわかった。さらに、M-S結合は加水分解されにくく、錯体は熱や酸素に対し非常に安定になる。これは配位子のアニオンが安定になり、配位子のチオラートアニオンが安定となるためとわかった。これらのことはシステインを含むペプチドでさらに顕著に現われる。2-t-BuCONHC_6H_4SHとC_6H_5SHのTriton-X100水溶性ミセル中でpKaを比較すると、それぞれ5.43、8.03となりNH…S水素結合によりpKaが小さくなっていることがわかった。 このように、NH…S水素結合は錯体の反応性を変化させるだけでなく、チオラートアニオンの反応性も変化させることが判明した。 配位原子が酸素の場合のNH…O水素結合についても比較の研究を行った。配位原子が酸素である[Fe(OEP)(O-2-RCONHC_6H_4)]でも同じ性質を示し、NH…O水素結合で金属ー酸素結合距離が長くなることがわかった。この構造はcatalaseの活性部位と同じであり、P-450と同様の機構でペプチドの構造変化と連動して酵素反応におけるFe(III)状態をNH…O水素結合で安定化したり、Fe(II)あるいはFe(IV)状態の配位酸素原子の活性化を行なうと考える。 金属錯体の配位原子への水素結合は金属ー配位原子間の結合性を変化させ錯形成定数を変化させると同時に、ペプチドの構造変化と連動して複雑な金属酵素反応のそれぞれの反応中間体を安定化させたり、不安定化させたりすることなど重要な役割を担うことが予想される。
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