研究概要 |
本研究では,純バナジウム,V-Fe合金,およびBCC相とラーベス相の2相からなるV-Zr-Ti-Ni合金を試料として,これらの合金中のプロチウム濃度分布およびその時間変化を調べ,添加元素の影響や存在する相の役割を調べた.純バナジウムにおいて,微細な領域におけるプロチウム濃度の時間変化を測定したところ,プロチウム濃度の高い領域の方がプロチウム濃度の減少の割合は大きいことがわかった.また,試料に添加されたプロチウムの大部分は試料内部に留まり,外部への逃散はほとんど無いことが明らかにされた.V-Fe合金では,鋳造組織のような微細組織の違いに対応するようなプロチウムの分布が観察された.プロチウム分布は添加した鉄の分布と相関があり,鉄の濃度の高い領域ではプロチウム濃度は低く,鉄の濃度の低い領域ではプロチウム濃度の高いことがわかった.また,鉄の添加はプロチウム吸収量を増加させることがわかった.ラーベス相の割合をBCC:Laves=1:1程度まで増加させたBCC相とC14型ラーベス相の2相からなるV_<54.5>Zr_<18.25>Ti_<11.25>Ni_<16>合金では,ラーベス相の割合が多い領域ではプロチウム濃度は時間とともに減少するが,BCC相の割合が多い領域ではプロチウム濃度は一度減少した後に増加するという特異な挙動を示した.プロチウムはラーベス相からBCC相に移動しているものと考えられる.
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