研究概要 |
本研究は、特異な物性と機能の発現が期待できるロジウムイオンに注目し、そのイオンを骨格の要とする機能性細孔を金属錯体の集積によって構築することを目的としている。ここでは酢酸銅(II)一水和物型の二核構造のカルボン酸ロジウム(II)を基本ブロックとし、それを共有結合、配位結合、分子間結合で積層させて細孔を構築しようとするものであり、本方法は他に例をみない独創的なものである。 平成11年度は直線性のジカルボン酸を配位子に用いてロジウム二核を格子状に結びつけたジカルボン酸ロジウム錯体の合成を行い、気体吸蔵について調べた。 合成は酢酸ロジウム(II)とジカルボン酸との配位子交換をメタノール中高温で行った。ジカルボン酸としてフマル酸、トランス-トランス-ムコン酸、テレフタル酸、トランス-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,2]オクタン-1,4-ジカルボン酸を用いた。いずれも緑色の粉末としてジカルボン酸ロジウム(II)錯体を高収率で得ることに成功した。元素分析および、室温での有効磁気モーメントから目的物の生成を確認した。得られたジカルボン酸ロジウム(II)錯体は二核構造を保ち、ジカルボン酸で架橋された二次元格子を形成していると思われる。さらに、これらのジカルボン酸ロジウム(II)錯体はいずれも気体を多量に吸蔵することが分かった。N_2ガスの吸着測定を行ったところ、ロジウム金属1モルあたり0.8-1.4モルのN_2ガスを吸蔵することが分かり、いずれの錯体も二次元格子の積層によって形成される安定な細孔中に多量の気体を吸蔵することが明らかになった。 本年度の研究により、二次元格子構造のロジウム錯体の集積によって、新しい機能性細孔の構築に成功した。
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