研究概要 |
二つのルテニウム原子をアンソラセン骨格で架橋し、それぞれのルテニウムにキノンと水酸基を有する二核ヒドロキソ錯体[Ru(OH)(SQ)Ru(OH)(SQ)]^<2+>([1]^<2+>)を合成した。メタノールあるいはアセトン中、[1]^<2+>に二等量のtBuOKを加えるとオキソ錯体[Ru(O)(SQ)Ru(O)(SQ)]^0に変換され、酸処理により[1]2+が再生した (1式)。MeOH中ではE_<1/2>=+0.43,+0.33V(vs.Ag/AgCl)に[1]^<2+/+>,[1]^<+/0>の酸化還元波が観測された。より高酸化状態のヒドロキソ錯体[1]^<2+>及びオキソ錯体の酸化還元電位は、[1](SbF_<[6>)_2が水に溶解しないことから、ITO電極上に錯体を修飾し、水中で錯体の酸化還元挙動を観測した。ガラス板に修飾した[1](SbF_6)_2も水中で1式の酸塩基平衡を示した。[1](SbF_6)_2を修飾したITOを作用電極に用いてpH4.0の水中でCVを観測したところ、+1.5V以上に大きな酸化波が観測された。実際に[1](SbF_6)_2を修飾したITO板を作用電極に用い、pH4.0の水中において+1.7V(vs.Ag/AgCl)で電解を行うと、40時間で発生した酸素量は15.0mlに達した(turn over 6740)。このように、近接した2つのRu(II)上に水酸基とキノンを配位させ、キノン配位子を電子受容体として作用させると、2つのプロトンが自発的に解離し酸素ム酸素結合生成がし、Ru(II)をRu(III)に参加すると触媒的に酸素発生が起こることが判明した。
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