研究課題/領域番号 |
11138216
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 隆俊 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30085633)
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研究分担者 |
中鶴 陽子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00237314)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
1999年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | AhR遺伝子 / 遺伝子ノックアウトマウス / ベンツピレン / 発がん感受性 / 芳香族炭化水素 / p450CYP1A1 / 薬物代謝酵素 / 転写誘導 |
研究概要 |
環境中のダイオキシン、ベンツピレン(BP)を始めとする芳香族炭化水素類は体内に入って、細胞内の芳香族炭化水素受容体(Aryl-hydrocarbon receptor;AhR)と会合する事により薬物代謝酵素p450CYP1A1遺伝子等の転写誘導を起こす。その結果、芳香族炭化水素化合物は代謝を受け、発癌性物質へと転換する。本研究ではAhR遺伝子ノックアウトマウス(AhRマウス)におけるBPに対する発がん抵抗性について検討した。雄性AhR(-/-)マウス、AhR(+/-)マウス及び正常対照AhR(+/+)マウスについてBP2mgを投与後3日目の皮膚及び肝臓でのp450CYP1A1の発現を検討したところ、AhR(-/-)マウスでは発現は認められなかった。また各genotypeのマウスについてBP2mgを1日目及び8日目の計2回皮下投与し経過観察した。AhR(+/-)マウス及び正常対照AhR(+/+)マウスではBPの皮下注射後16週後には100%の動物に腫瘍が発生した。しかし、AhR(-/-)マウスは投与後腫瘍の発生は全く観察されなかった。また、雌性AhR(-/-)マウス、AhR(+/-)マウス及びAhR(+/+)マウスの背部皮膚にBP200μgを週一回連続的に塗布した実験においてもAhR(+/-)マウス及び正常対照AhR(+/+)マウスでは28週までに93%の動物に腫瘍の形成が認められたのに対し、AhR(-/-)マウスでは腫瘍は全く発生しなかった。BPによる発がんにはAhRを介した薬物代謝酵素誘導が重要であることが示された初めての知見である(Proc.Acad.Sci.USA18:779-782,2000)。
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