研究課題/領域番号 |
11138226
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
酒井 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (80281731)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1999年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | HPV / ケラチノサイト / 細胞分化 / 皮膚モデル培養系 / 転写 / DNA複製 |
研究概要 |
当該研究期間に行われた研究の成果は以下の通りである。 (1)ヒトケラチノサイトを用いた皮膚モデルにおいてHPVゲノムの複製を再現した。そこではゲノムの複製は基底層部位ではほとんど検出されず、分化段階の進んだ細胞群で活発な複製が認められた。このときHPVの初期遺伝子群のmRNA量も上昇していた。またHPVの複製を支持する細胞は一部の細胞群に限られており、未知の要素がHPVの遺伝子発現や複製の制御に関わっていることを示唆している。 (2)皮膚モデルにおいて、E6/E7の発現によるケラチノサイトの細胞分裂の変化を検討した。通常は分裂の認められない細胞層でも細胞分裂が観察されたが、細胞分化自体への影響はほとんど見いだせなかった。しかし詳細に検討するとE7発現細胞では分化像に変化が認められた。 (3)HPVoriを含むDNAの複製能は、その遺伝子発現活性と相関しうることを示した。この二つの機能の相関はHPVのE2によって媒介されており、その作用機構としてE2のDNA結合性がその転写活性化能によって調節されていることが考えられた。これはケラチノサイトの分化に伴って遺伝子発現の上昇が認められ、その際劇的にウイルスDNAのコピー数が増大する機構を反映している可能性がある。 (4)HPV陽性の癌化した細胞の増殖性の維持にE6/E7の発現が重要であることを見出し、増殖停止した細胞がsenescenceの状態にあることを確認した。このとき細胞内のテロメレース活性が低下しており、テロメア構造の認識機構が細胞増殖停止に関与している可能性が示唆された。
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