研究課題/領域番号 |
11138236
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
達家 雅明 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (50216991)
|
研究分担者 |
太田 隆英 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10152141)
鈴木 文男 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (10019672)
|
研究期間 (年度) |
1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1999年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
|
キーワード | M期 / 有系分裂 / AIM-1 / STK15 / 大腸がん / 染色体 / デュークス分類 / キナーゼ |
研究概要 |
我々は動物細胞の染色体分配過程に深く関与するセリン/スレオニン残基をリン酸化するAキナーゼの新しいサブファミリーを独自に発見した。このキナーゼ群の内で、動物細胞において最も解析の進んでいるAIM-1とその類縁キナーゼSTK15(AIM-2に同じ)におけるヒトがんとの関連について研究し、以下の諸点を明らかにした。 1.AIM-1とSTK15は大腸がんを含む種々の培養ヒトがん細胞における試験管内での高発現のみならず、ヒト大腸がんの発症過程においてもmRNAレベルならびに蛋白レベルでの高発現が観察された。 2.高発現の機構はAIM-1とSTK15で異なり、AIM-1では転写レベルの亢進が起こっており、遺伝子量の変動は観察されなかった。一方、STK15では転写レベルでの発現亢進に傾向のあるものの、AIM-1のように顕著では無く、遺伝子増幅が高発現の例で認められた。 3.大腸がんのデュークス分類による悪性度と高発現の相関性はAIM-1で認められ、悪性度が増すにつれてAIM-1は発現レベルが高くなる傾向にあった。一方、STK15は悪性度と発現量とのはっきりとした相関性は認められなかった。 4.大腸癌細胞株でCIN(染色体不安定性表現型)を示す細胞とMIN(マイクロサテライトDNA不安定性表現型)を示す細胞とに分類出来るが、CIN細胞においてSTK15が高発現傾向にあった。AIM-1にはCIN細胞とMIN細胞との間で、高発現のレベルに有意な差は無かった。 AIM-1とSTK15は構造的に類縁であるM期キナーゼであるが、両者のM期進行過程での役割は異なっていることが我々の研究から明らかとなっている。ここで観察した高発現の機構の相違や、発がん過程における高発現の時期の違いなどから考えて、発がんに対して2つの遺伝子は同じ作用点で効果を発揮しているのではなく、互いに相加的あるいは相乗的に作用している可能性を強く示唆する。
|