研究課題/領域番号 |
11138260
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
美野輪 治 理化学研究所, マウス変異探索研究チーム, 上級研究員 (00181967)
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研究分担者 |
八尾 良司 財団法人 癌研究会, 癌研究所・細胞生物部, 研究員 (80291095)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 活性酸素 / MutM / MMH / OGG1 / 8-OH-G / ジーンターゲテイング / ゲノムDNA |
研究概要 |
[目的]活性酸素は、好気的代謝を行う細胞内で種々の代謝経路を経て生じるが、高反応性で毒性が強く、特に、細胞のゲノムDNAに対して変異原性を示すため、高等脊椎動物における発癌の重要な要因の一つと信じられている。しかしながら、活性酸素が生体中で実際に癌を引き起こす事を直接示す実験は、ほとんど知られていない。ゲノムの安定性を脅かす変異原性要因は多様であり、それによって生じるDNA損傷も多様であるので、こうしたDNA損傷に対処する修復系も必然的に多岐にわたる。ゲノムDNAを変異から守るためには、活性酸素によるDNA傷害を修復する酵素の存在が知られている。MMH(MutM homolog)/OGG1は、活性酸素による主要なDNA損傷である8-oxo-guanine(8-OH-G)特異的に認識し修復する酵素であり、塩基除去修復を行うグループに属する。そこで、このMMHの遺伝子が欠損したマウスにおいて、活性酸素による損傷の増大と発癌性の亢進が観察されれば、癌抑制遺伝子に対する生体中での変異導入の経路を初めて直接示すモデルとなる事が期待される。[方法]標的遺伝子組換え法により、Mmh欠損マウスを得た。諸臓器によりgenomic DNAを抽出し、Electro-chemical detectorにより溶出patternを検出するHPLCを用いて、8-OH-dGの定量を行った。[結果]これらのマウスにおけるゲノムDNA中の8-OH-Gの蓄積について検討したところ、9週齢のホモ接合で野性型に比べ体明瞭な8-OH-Gの上昇が認められた。一方、ヘテロ接合体は、野性型とほぼ同じ値を示し、上昇は認められなかった。これらの結果は、マウスの生体中でgenomic DNAが、常時、内因性の酸化的傷害要因にさらされており、Mmhが実際に酸化的塩基傷害の主要産物である8-OH-Gを修復する酵素である事を示している。
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