研究課題/領域番号 |
11138261
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
佐邊 壽孝 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究部長 (40187282)
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研究分担者 |
佐藤 陽 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (90321702)
中村 邦明 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (70311305)
矢野 元 財団法人 大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (00284414)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1999年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | パキシリン / タンパク質チロシンリン酸化 / p130Cas / 細胞運動 / 接触阻止 / インテグリンシグナル |
研究概要 |
上皮間充織形質転換、及び、細胞運動におけるインテグリン活性化に伴う細胞内の生化学的変化を調べた結果、インテグリン裏打ち蛋白質であるパキシリンとp130Casとのチロシンリン酸化の亢進が顕著な変化であることが分かった。パキシリンの全ての主要なリン酸化部位(4箇所)の同定は先年度に終了している。今年度は、パキシリンとp130Casとの機能とを対比させながら、それらのチロシンリン酸化の生理的役割を検討した。その結果、パキシリンは、上皮細胞の運動性に対して抑制的に作用することを見い出した。一方、この研究を行っている間に、p130Casのチロシンリン酸化は細胞運動性亢進に寄与することが報告され、我々もこの点は追試確認した。細胞の増殖形態に関して検討した結果、両者は級数的増殖速度には特に影響を及ぼさないが、細胞の飽和密度に顕著な影響を及ぼした。即ち、パキシリンは飽和密度を低下させ、p130Casは飽和密度を上昇させる作用を示した。これらの作用にも、それぞれのチロシンリン酸化が関与することが示唆された。従って、両者はチロシンリン酸化を介して、互いに見かけ上逆の効果を及ぼす可能性が考えられる。P130Casのチロシンリン酸化にはCrkやNckなどが結合し下流のシグナルを発生することが示されているが、パキシリンに関して検討した結果、これらの関与に関して否定的な結果を得、パキシリンチロシンリン酸化部位への結合蛋白質、特に細胞運動制御に関与するものは未だ探索中である。P130Casが作用するさらに下流の因子としてMAPKやPI3Kなども提唱されているが、パキシリンとこれらとの関連性に関しても現在検討中である。また、パキシリンの4箇所のチロシンリン酸化部位を部分的に変異させた際の効果に関しても検討し、その結果、パキシリンのチロシンリン酸化は、運動中におけるアクチン細胞骨格構造形成/再形成の時間的空間的制御に深く関与している事を見い出した。さらに、パキシリンの4箇所のチロシンリン酸化部位に対する抗体を、外部との共同研究により開発しており、すでに幾つかのものに関しては終了した。これらの抗体を用いて、in vitroで運動中の細胞や、各種癌組織におけるパキシリンの4箇所のリン酸化を検討を開始している。
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