研究課題/領域番号 |
11138263
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 埼玉県立がんセンター |
研究代表者 |
中地 敬 埼玉県立がんセンター, 研究所, 首席研究官 (00142117)
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研究分担者 |
赤木 究 埼玉県立がんセンター, 研究所, 研究員 (30244114)
松山 悟 埼玉県立がんセンター, 研究所, 研究員 (90311373)
今井 一枝 埼玉県立がんセンター, 研究所, 主任研究員 (80260230)
江口 英孝 埼玉県立がんセンター, 研究所, 研究員 (00260232)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1999年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | コホート研究 / NK活性 / 免疫監視 |
研究概要 |
ヒトの発がんを理解するためには多様な宿主因子を個体レベルで検討し、発がんにおける宿主と環境の相互作用を明らかにする必要がある。宿主因子は様々な生体マーカーを用いて測定されるが、多くの生体マーカーは担がんの影響を受けるため、発がんとの関連はコホート研究によってのみ検討が可能である。このため我々は1986年より地域一般住民を対象としたコホート研究を進めてきた。40才以上の地域一般住民3,625人について,末梢血サンプルを用いて30種の免疫・生化学マーカーを測定した。1997年までの追跡調査により192人のかん罹患が見出されており、基礎調査で測定した様々な生体マーカーと発がんの関係を検討した。その結果、標的細胞としてK562を用いた末梢血リンパ球(PBL)のナチュラルキラー(NK)活性が、測定後の追跡調査で見出されたがんの発生と負の相関を示した。コホート研究の対象者のNK活性を3分位により、高活性、中活性、低活性群に等分すると、低活性群と比較して高活性及び中活性群の発がんの相対危険は、女性でそれぞれ0.56(95%信頼区間、0.31-1.01)、0.52(0.28-0.95)、男性で0.62(0.38-1.03)、0.72(0.45-1.16)、また男女計で0.59(0、40-0.87)、0.63(0.43-0.92)であった。すなわち、NK活性の低い群での発がんはより高い活性の群に比べて発がんリスクが約2倍であり、PBLのNK活性は発がんに対する宿主の免疫的防御因子であると考えられる。 コホート研究で用いたNK活性は、Granule-dependentな細胞障害性を表わすと考えられるが、MHC class Iの拘束を強く受けるとするとコホート研究で観察された全がんに対する関係の強さを説明することは困難である。さらに、NK活性の個人差を決定するメカニズムが何か明らかにする必要がある。そこで、健常者105人を対象とした実験医学的検討を行った。まず、FasL-depe ndentな細胞障害性を測定する系を開発した。次に、病歴・生活習慣などの疫学調査と並行し、(1)PBLのGranule-dependentなNK活性、(2)PBLのFasL-dependentなNK活性、(3)CD16+/CD56+細胞でのNK活性を制御するレセプターKIR及びKARの発現、(4)CD3-/CD56+細胞におけるサイトカインの発現を測定した。その結果、PBLはMHC class Iを強く発現している標的細胞をFasLに依存しないで強く傷害するNK活性を持ち、このNK活性はコホート研究で測定したNK活性と強く相関することが示された。それぞれのNK活性とNKレセプター及び生活習慣との関連については現在解析中である。
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