研究課題/領域番号 |
11139214
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 由季子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (70252525)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1999年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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キーワード | MAPキナーゼ / 細胞生存 / アポトーシス / カスペース / p38 / JNK / MST1 / PI3キナーゼ |
研究概要 |
我々は、MAPキナーゼ経路が細胞の生存促進に貢献している可能性を検討した。モデル系として小脳顆粒細胞を用い、チロシンキナーゼタイプの受容体に始まる生存シグナル伝達の例としてBDNF刺激を用い、また細胞内Ca^<++>濃度の上昇による生存シグナル伝達の例として脱分極刺激を用い、MAPキナーゼ経路の貢献の有無を検討した。BDNFを小脳顆粒細胞に加えるとMAPキナーゼの活性化とPI3キナーゼの下流の分子AKTの活性化を誘導した。MAPキナーゼの活性化をMAPKKの阻害剤PD98059で抑制すると、BDNFによる生存促進効果を部分的に阻害した。また、MAPキナーゼ経路とPI3キナーゼ経路は相乗的に小脳顆粒細胞の生存を促進した。MAPキナーゼの活性化を抑制すると、BDNFだけでなく、高濃度KClによる脱分極刺激による生存促進効果も部分的に阻害されたので、MAPキナーゼは、チロシンリン酸化にはじまる生存シグナル伝達だけでなく、脱分極/Ca^<++>流入にはじまる生存シグナル伝達にも重要な役割を果たすと考えられる。 一方、MAPキナーゼスーパーファミリーのメンバーであるJNK、p38についても、未だにその機能について不明な点が多い。我々はJNK、p38の活性を制御する分子のうちMST1に注目し、その機能を検討している。MST1は酵母STE20(MAPKKKK)の哺乳類ホモログであり、MKK4/MKK7→JNKとMKK3/MKK6→p38の経路を活性化することを我々は明らかにしてきた。MST1はFasなどのアポトーシス誘導刺激により、カスペースによって切断を受けて活性化する。そこで、本年度はMST1がアポトーシス誘導に関して何らかの役割を果たしているかを検討した。MST1は細胞に発現すると細胞膜のblebbingや核の凝縮を引き起こし、アポトーシス様の形態変化を引き起こす。MST1はDNAのヌクレオソーム単位の断片化を引き起こすが、これはカスペースの活性化を介していることが明らかになった。一方、核の凝縮と細胞膜のblebbingはカスペース活性を抑制しても誘導された。従って、MST1はカスペース依存的・非依存的両方の経路を介して細胞死を誘導することが示唆された。
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