研究課題/領域番号 |
11139217
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 幾夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30119028)
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研究分担者 |
細野 治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50190210)
田中 廣壽 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00171794)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | CD29 / VLA / インテグリン分子 / Cas-L / シグナル伝達 / チロシンリン酸化 / 癌浸潤 / 癌転移 |
研究概要 |
CD29/VLAインテグリン分子はフィブロネクチン、ラミニンなどの細胞外基質の受容体として細胞接着のみならず、癌細胞の転移、浸潤、増殖などに重要な役割を果たしている。我々はVLA/CD29刺激によってチロシンリン酸化されるシグナル分子でCas類縁の新しいシグナル分子Cas-Lを確立した。今回我々はCas-Lの生物学的意義を明らかにした。Jurkat T細胞株はVLA/CD29インテグリンの抗体やそのリガンドと抗CD3抗体を組合わせてもIL-2は産生ない。しかしCD3と抗CD28抗体の組合わせではIL-2を産生した。このJurkat T細胞株はFAKは発現しているもののCas-Lは殆ど発現していなかった。Cas-LのJurkatトランスフェクタントを樹立して、固相化した抗CD3抗体及びα4β1インテグリンのリガンドであるCS-1で刺激してIL-2産生を検討したところ、ベクターコントロールと比較してCS-1の濃度依存性にIL-2を産生した。さらにこのIL-2産生は可溶性の抗CD49d抗体及び抗CD29抗体処理により抑制された。FAKのCas-Lへの結合部位のSH3ドメインを欠いた変異体のJurkatトランスフェクタントではCD29/VLAインテグリンとCD3/TCRの架橋化でもIL-2は産生せず、またCas-L分子もチロシンリン酸化されなかった。 さらにトランスウェルに抗CD3抗体及びFNをcoatした場合、親株Jurkatは遊走しないが、Cas-L Jurkatトランスフェクタントは強い遊走能を獲得した。このようにCas-L分子はVLA/CD29由来のIL-2産生や細胞遊走に関わっていることから、癌細胞増殖や浸潤、転移にも重要な役割を果たしていることが推測された。
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