研究課題/領域番号 |
11139229
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏治 三重大学, 医学部, 教授 (70077808)
|
研究分担者 |
林 辰弥 三重大学, 医学部, 助手 (00242959)
井戸 正流 三重大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90167263)
|
研究期間 (年度) |
1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1999年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
|
キーワード | メラノーマ細胞 / 骨肉腫細胞 / トロンビン / プロトロンビン / 細胞遊走 / 転移 / 浸潤 / メタロプロテアーゼ |
研究概要 |
従来から血液凝固線溶系因子が癌細胞の浸潤・転移能を高め、また、癌細胞は組織因子や第Xa因子様の凝固促進物質を産生することが知られており、癌の浸潤・転移に血液凝固線溶系因子が大きな影響を及ぼすことが示唆されていたが、その分子機構は明らかでなかった。この背景の下、本研究で、我々は血液凝固因子のプロトロンビンがトロンビンと同程度の強さでメラノーマ細胞、骨肉腫由来癌細胞などの増殖、遊走(Boyden chember測定法)、マトリックス浸潤(マトリゲル内浸潤測定法)を高めることを見出した。この作用に対して、トロンビン阻害物質のヒルジンはトロンビン作用を特異的に阻害したが、プロトロンビンの作用には影響を及ぼさないことから、プロトロンビンはトロンビンとは異なる機構でメラノーマ細胞や骨肉腫細胞の増殖、遊走、浸潤活性を高めることが明らかになった。トロンビンはそのセリンプロテアーゼ活性によってメラノーマ細胞のトロンビン受容体を限定分解し、細胞内にシグナルを伝達して細胞の増殖活性、運動性、細胞周囲基質の分解性を高めるのに対して、プロトロンビンは分子内のGlaドメインを介してメラノーマ細胞の膜(インテグリン)に結合して細胞を活性化し、癌細胞の機能を高めることが示唆された。また、トロンビン、プロトロンビンは共に癌細胞でのuPAの産生を促進し、分泌されたuPAによるプラスミノゲンの活性化と続くメタロプロテアーゼの活性化を促進することが明らかになったが、この作用機構もトロンビンとプロトロンビンでは異なることが示唆された。この結果から、凝固因子が癌細胞の運動性に転移浸潤に大きな影響を及ぼすことが証明された。
|