研究課題/領域番号 |
11139234
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣田 誠一 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50218856)
|
研究分担者 |
北村 幸彦 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70028520)
|
研究期間 (年度) |
1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1999年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
|
キーワード | c-kit遺伝子 / 機能獲得性突然変異 / germline / カハールの介在細胞 |
研究概要 |
がん原遺伝子c-kitはレセプクーチロシンキナーゼ(KITレセプター)をコードしており、そのリガンドはSCF(stem cell factor)である。c-kit遺伝子にはSCFが結合しなくてもKITレセプターの活性が亢進する機能獲得性の突然変異が存在するが、われわれは消化管ストローマ細胞腫瘍(GISTs)に高頻度にc-kit遺伝子の機能獲得性突然変異が見られることを明らかにした。最近GISTsの多発する2家系を見つけたので、本研究ではこの2家系の腫瘍発生にc-kit遺伝子の変異がどのように関与しているのか調べた。違うタイプではあったが、どちらの家系の患者の腫瘍組織にも傍細胞膜領域をコードする部分のc-kit遺伝子に突然変異が見つかった。患者の末梢血白血球または正常組織から得たgenomic DNAにも腫瘍組織でみられたのと全く同一のc-kit遺伝子の突然変異がみつかったことから、この突然変異はgermlineでの突然変異であることが明らかになった。上記の変異型KITレセプターはSCFで刺激しなくてもリン酸化が強く見られ、変異型c-kit cDNAはIL-3依存性に増殖するマウス前リンパ球培養細胞株Ba/F3細胞を自律的に増殖させるようになったことから、機能獲得性の変異であることが示された。患者の正常様に見える消化管壁には、筋間神経叢の部分にびまん性の紡錘状細胞の過形成が見られ、これらの細胞は免疫染色によりKITレセプター・陽性・CD34陽性であることがわかり、カハールの介在細胞由来であると考えられた。以上から、c-kit遺伝子のgermlineにおける機能獲得性突然変異は、家族性にカハールの介在細胞の瀰漫性過形成を起こし、これを母地に多発性のGISTsが発生すると考えられた。カハールの介在細胞の瀰漫性過形成から多発性のGISTsが発生するためには、何らかの遺伝子異常の集積が必要と考えられ、今後詳細な解析によりこれらの家系における腫瘍発生機構を解明したい。
|