研究課題/領域番号 |
11139261
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
金井 好克 杏林大学, 医学部, 助教授 (60204533)
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研究分担者 |
車 碩鎬 杏林大学, 医学部, 助手 (50276200)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1999年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | トランスポーター / アミノ酸 / 癌 / 悪性腫瘍 / 細胞増殖 / 必須アミノ酸 / 細胞周期 |
研究概要 |
悪性腫瘍細胞においては、その持続的な増殖を保障するために糖やアミノ酸の輸送体(トランスポーター)の発現が亢進している。特に、細胞内で生合成不能な必須アミノ酸の取り込みを担当するトランスポーターは、細胞増殖と密接に相関して発現が調節されていると考えられてきた。本研究は、必須アミノ酸輸送が腫瘍細胞増殖の一つの律速段階となり、その抑制により腫瘍増殖抑制が達成されるという作業仮説を設け、癌・胎児抗原としての発現パターンを示す必須アミノ酸トランスポーターLAT1(L-type amino acid transporter 1)の腫瘍増殖における役割を実証することを目的として、in vitro及びin vivoにおける実験的検討、さらに病理組織標本におけるヒト悪性腫瘍でのLAT1の発現の検討を行い、以下の諸点を明らかにした。(1)LAT1は、検討したヒト腫瘍細胞株に概ね強発現するが、その機能発現のための補助因子である4F2hc(4F2 heavy chain)の発現量は細胞により異なる。4F2hcの発現量と細胞増殖速度に正の相関関係があり、LAT1機能と細胞増殖の相関関係が示唆された。(2)LAT1の抑制薬BCH(2-aminobicyclo-(2,2,1)-heptane-2-carboxylic acid)、あるいはLAT1のアンチセンスオリゴDNAにより、腫瘍細胞増殖が抑制された。(3)BCHにより細胞周期全体が延長することが観察され、これによりLAT1抑制による細胞増殖抑制が生じることが示唆された。(4)BCHは、腫瘍接種マウスの生存を有意に延長した。(5)ヒト大腸癌及び胃癌組織において、LAT1及び4F2hcが強発現し、正常組織とは異なった存在パターンを示した。LAT1は腫瘍細胞に発現の亢進する必須アミノ酸トランスポーターであり、LAT1を介するアミノ酸取り込みが細胞増殖の律速段階の一つとなることが示唆された。さらにLAT1の抑制に腫瘍細胞増殖抑制効果があることが明らかになった。
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