研究課題/領域番号 |
11139275
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
江角 浩安 国立がんセンター研究所, 支所, 支所長 (70160364)
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研究分担者 |
倉島 由紀子 国立がんセンター研究所, 支所・がん治療開発部, 研究補助員
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1999年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | 低酸素 / 低栄養 / HIF-1 / HAS / エネルギー代謝 / 細胞死 / 腫瘍血管 / 進展 |
研究概要 |
がん細胞の低酸素環境に対する適応反応を解析し以下の点に関し明らかにした。 1.炎症などで生成される一酸化窒素は、細胞の低酸素反応を中心的に制御する転写因子HIF-1を活性化することを見出した。また、HIF-1に反応する遺伝子のプロモーターのHIF-1結合部位の近傍にこれらの遺伝子に多くは保存された、新しいcis-element,HASの存在を見出した。 2.一酸化窒素処理をすると、VEGFなどの発現が亢進するのみならずグルコース欠乏や、血清除去による細胞死に対し抵抗性になることを見出した。同様の抵抗性は,細胞を1%酸素下で培養することによっても得られた。HIF-1は活性化されるとグルコースの細胞内への取り込みや、これを用いた嫌気的解糖の促進で酸素欠乏に対して対処するとされていた。今回の結果は従来の考え方に真っ向から反する。 3.腫瘍の進展を考えれば、上に述べた反応は極めて合理的である。腫瘍組織の低酸素は要求に対する供給不足であり、言い換えれば血流不足である。従って酸素が単独で欠乏することはなく栄養因子も同時に欠乏する。グルコースの代わりに何がエネルギー源となっているのかを調べると、脂肪酸よりもアミノ酸が効率よく使われていた。この事実も、浸潤性腫瘍が周囲の基質を分解しエネルギー源として使っていると考えるのに適していた。 4.腫瘍の進展を、エネルギー代謝から理解するという新しい考え方を打ち立てた。
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