研究課題/領域番号 |
11139280
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
小崎 健一 愛知県がんセンター, 病態学研究室, 主任研究員 (50270715)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1999年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
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キーワード | 癌浸潤・転移 / リンパ行性転移 / リンバ節転移 / マウス皮下移植自然転移モデル / cyclooxygenase2 |
研究概要 |
我々はヒト癌転移の臨床病態において予後との相関から明らかであるリンパ節転移に着目し、リンパ節を選択的な転移先臓器の一つと考えてリンパ行性転移モデルの確立を進め、ヒト非小細胞性肺癌細胞株(大細胞癌)NCI-H460を用いたin vivo selectionによって、マウス皮下移植により所属リンパ節へ確実に短期間で自然転移するリンパ行性転移亜株NCI-H460-LNM35(LNM35)を樹立した。本研究において、マトリックス分解酵素やその特異的阻害因子、癌関連糖鎖抗原、細胞接着分子群などの既報の転移関連分子について検討したところ、LNM35と親株NCI-H460の両細胞株間における発現レベルでの差を認めなかったが、cyclooxygenase2(COX-2)の発現がLNM35で有意に増大していることを見出した。COX-2選択的阻害剤nimesulideが内服時に血中到達可能な濃度とほぼ同じ低濃度でLNM35のin vitro細胞運動能と浸潤能を強く抑制し得ることから、ヒト肺癌の浸潤・転移過程にCOX-2が関与している可能性が強く示唆された。また、本研究の目的は未だ明らかではないリンパ行性転移の分子機序の解明と関連遺伝子群の単離・同定にあるが、目的達成の基盤として、多因子が関与する複雑な転移プロセスの全体像の把握すべく、低転移性リバータントクローンの樹立を試みた。転移形質に関連する遺伝子群の発現におけるメチル化の関与を想定して、LNM35をメチル化阻害剤で処理し、複数の低転移性リバータントクローンの樹立に成功した。現在、リンパ行性転移関連遺伝子群の単離・同定を目指して、これらのリバータントクローンとLNM35間の遺伝子発現について、macroarrayやmicroarrayを用いた網羅的比較・検討を進めつつある。今後は、発現バランスの変化に基づいた遺伝子群のパターン化を進めることによって、質的に有意なリンパ行性転移関連遺伝子群を選別・濃縮し、得られた各転移関連遺伝子について、LNM35のin vitro実験系とin vivo皮下移植自然転移モデル系を用いた詳細な解析によって転移促進遺伝子あるいは抑制遺伝子の機能的確認を試みる予定である。
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