研究課題/領域番号 |
11140204
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
細川 真澄男 北海道大学, 医学部, 教授 (20001901)
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研究分担者 |
藤堂 省 北海道大学, 医学部, 教授 (60136463)
岡田 太 北海道大学, 医学部, 助手 (00250423)
小林 正伸 北海道大学, 医学部, 助教授 (80241321)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1999年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 低用量癌化学療法 / 抗腫瘍免疫応答性 / TGF-β / ラット肝細胞癌 / bleomycin / Th1型のサイトカイン / マクロファージ / 培養ヒト癌細胞 |
研究概要 |
低用量癌化学療法が担癌宿主の抗腫瘍免疫応答性を増強する機序を解析することにより、癌治療の完成と癌患者のQuality of life(QOL)の維持に資する基本概念を構築することを目的として研究した結果、次の成績を得た。1)可移植性肝細胞癌KDH-8担癌WKAHラットを階段希釈した各種抗癌剤で治療した結果に基づき、腫瘤の縮小と肺転移の抑制が見られたbleomycin(BLM, 5mg/kg, i.p.)を腫瘍移植後14日目に投与する条件で以下の免疫学的検索を実施した。2)非治療群では低下するTh1型サイトカイン(IL-2、IFN-γ、TNF-α)産生能がBLM治療により維持された。3)担癌21日目の腫瘍組織に検出されたTGF-βがBLM治療により有為に減弱していた。4)正常ラットの脾細胞のIL-2産生能または腹腔マクロファージ(MΦ)の腫瘍細胞傷害活性およびnitric oxide(NO)産生が非治療群腫瘍組織の粗抽出液によって抑制され、その抑制作用は抗TGF-β抗体添加により消失した。しいし、BLM治療群腫瘍組織の粗抽出液によっては抑制されなかった。5)KDH-8細胞培養上清中にTGF-βが検出され、上記免疫反応を抑制したが、培養眼細胞に損害を与えない程度の低用量のBLM(10μg/m1)6時間処理後24時間の培養上清のTGF-β量は抑制作用を示さないレベルまで減少した。6)ヒト培養大腸癌6株、肺癌2株、頭頚部扁平上皮癌2株の全株においてTGF-β産生が観察され、これらTGF-β産生が低用量のBLM処理により抑制されるという予備的実験結果を得た。また、大腸癌組織3例中1例でTGF-β1遺伝子の発現が観察された。以上の成果は、低用量癌化学療法が癌細胞のTGF-β産生を選択的に抑制することを介して、担癌により低下してくる抗腫瘍免疫応答性を回復させうることを示している。予備実験により示唆された様に、ヒトの癌細胞も高頻度にTGF-βを産生している可能性があり、本研究の成果を臨床に応用するためには、実際に低用量化学療法を受けた奨励の癌細胞のTGF-β遺伝子の発現の変化を検証する必要がある。
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