研究概要 |
アンチセンス・オリゴヌクレオチド(AS ODN)を用いて白血病細胞、血液細胞および慢性関節リウマチ患者から得た滑膜細胞の増殖抑制とその機序を検討し、以下の諸点を明らかにした。 (1)AS ODNの5'端および3'端の両端から3塩基間の2つの化学結合をホスホロチオエート型結合とし、中央の塩基の化学結合をホスホジエステル型としたキメラ型分子の合成方法、精製方法を確立し、このキメラ型分子が、すべての塩基間結合がホスホロチオエート型結合の核酸分子と同様、ヌクレアーゼによる分解に耐性であること。また、非特異的に蛋白質と結合したり、Bリンパ球を非特異的に刺激するなどの非特異的作用や非アンチセンス作用を示す程度が少ないこと。 (2)c-myc AS ODNでc-mycの発現を低下させると白血病細胞株HL60の増殖が抑制され、さらにその状態からc-mycの発現を急に増強させると、G1/S期境界の細胞が選択的に、かつ大量にアポトーシスをおこすこと。 (3)慢性関節リウマチで増殖する滑膜細胞にc-mycアンチセンス核酸分子を導入したところ、Fas/Fas ligandを介したアポトーシスが誘導されること。 (4)キメラ型骨格をもったBcl-2,c-myc,EPOレセプター,SDF-1に対するAS ODNが有効な機能を有していること。とくに、EPOレセプターに対するAS ODNをもちいて赤芽球系細胞においてEPOが自己産生されることを見い出した。
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