研究概要 |
1.化学療法や同種骨髄移植を受けた多数例の白血病患者のMRDをWT1 assayを用いてフォローしたところ,(1)WT1レベルが,治療早期に治療前の1/100以下に低下しないものは,早期に再発する(2)治療前,WT1が高発現していても,治療早期に,WT1レベルが極めて低値まで低下する症例は,再発しない(3)治療後期にWT1レベルの低い症例は再発しにくい。以上のことは,WT1 assayによって,MRDが的確に診断できることをconfirmしている。 2.WT1 mRNAレベルは,増殖能のある白血病細胞量のみを反映し,キメラ遺伝子mRNA量は,増殖能のある白血病細胞量と,分化し増殖能を失った白血病細胞量の総和を反映していると考えられるので,WT1 assayの方が,キメラ遺伝子assayよりも,増殖能があり再発に関与するMRDの検出感度がよい。実際のAPLの症例でも,治療に対する反応は,WT1 mRNAの方が,PML/RAR α mRNAよりも鋭敏であり,再発の診断も,WT1 assayの方がすぐれている。 3.MDSでは,WT1 mRNAレベルと白血病化の程度との間に強い正の相関があり,WT1 assayにより,MDSの白血病化の程度を的確に診断できることが明らかになった。WT1 assayの確立により,MDSの白血病化の程度を,はじめて分子レベルで診断できるようになった。
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