研究課題/領域番号 |
11140269
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
井本 正哉 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (60213253)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1999年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | アポトーシス / EGF受容体 / V-ATPase / pRB / アンギノマイシンB / イノスタマイシン / セラミド / PKC |
研究概要 |
(1)EGF受容体過剰発現細胞はEGF刺激により、通常の細胞をEGF刺激したときには見られない細胞内情報伝達系の活性化が観察され、これらの活性化はEGF受容体過剰発現細胞の新たなホメオスタシス形成に関わっていると考えられる。微生物2次代謝産物から単離したV-ATPase阻害剤であるconcanamycin B,destruxin E はEGF受容体過剰発現細胞に対して単独ではアポトーシスを誘導しない濃度域で、EGF刺激時にのみアポトーシスを誘導した。このような作用はF0/F1-ATPase阻害剤や、E-APTasa阻害剤では観察されなかったことからV-ATPase 活性阻害に伴う酸性オルガネラの消失がEGFシグナリングのホメオスタシス形成を破壊した結果と考えられる。 (2)アンギノマイシンBは正常細胞やpRBが通常に機能しているがん細胞にはcyclin D1の発現阻害とCdc25Aの活性化阻害によりG1期停止を誘導する一方で、pRB機能を消失した癌細胞にはCdc25Aの活性化阻害を誘導できず、G1期停止を起こすことなくアポトーシスを誘導した。このようにpRBはCdc25Aの活性化を阻害することにより細胞のホメオスタシス形成に機能しており、pRB機能欠損細胞では異なったホメオスタシス形成によって細胞機能を維持していると考えられる。アンギノマイシンBは、pRB機能欠損細胞におけるホメオスタシス破壊によりアポトーシスを誘導したと考えられる。 (3)イノスタマイシンによるアポトーシスはde novo合成系の活性化によるceramide 生成、cytoshromecの細胞質への放出、caspase-3の活性化を通じて誘導されていることを明らかにした。また、TPA によるPKCの活性化はceramide生成のステップを阻害することにより、イノスタマイシンによって誘導されるアポトーシスを阻害した。イノスタマイシンはイノシトールリン脂質代謝回転の阻害剤であることから、イノスタマイシン処理した細胞ではジアシルグリセロール生成が阻害され、PKC によるceramide のde novo合成活性化経路の抑制的制御が解除され、アポトーシスが誘導されたと考えられる。このように、PKCが担うホメオスタシスを破壊する薬剤は新しいタイプの制癌剤になりうると考えられる。
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