研究課題/領域番号 |
11140279
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
馬島 哲夫 財団法人 癌研究会, 癌化学療法センター・基礎研究部, 研究員 (30311228)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 抗癌剤 / 化学療法 / トポイソメラーゼ阻害剤 / アポトーシス / ATF3 / カスペース / 癌 |
研究概要 |
抗癌剤の癌細胞に対する増殖抑制効果は細胞周期停止やアポトーシスの誘導性によって規定されることから、癌細胞自身のもつその初期応答制御機構の解明は、新たな化学療法の分子標的を見い出す上で重要な課題である。本研究では、抗癌剤によるアポトーシスの速やかな進行に対して、カスペース阻害剤が、その上流のシグナル伝達に影響を与えることなく、アポトーシスの実行過程を強力に阻害することに着目し、カスペース阻害剤により抗癌剤によるアポトーシスの進行をその実行過程でブロックした細胞群および対照群の間でcDNAサブトラクションを行い。アポトーシス誘導初期(カスペース非依存的なPhase)の応答遺伝子群を検索した。その結果、エトポシド刺激後、カスペース活性化に先立ち顕著に発現誘導される3つの遺伝子(SSATの新規スプライシング・バリアント、ATF3、ハムスターZFFのヒト・ホモログ)を同定した。このうち特にATF3は、固形癌を含めた広範な癌細胞において、そのアポトーシス誘導初期に、蛋白レベルでもカスペース非依存的に強く蓄積し核内に移行した。全長ATF3 cDNAをHeLa細胞に遺伝子誘導すると、ATF3の過剰発現単独ではアポトーシスは誘導されないが、その安定過剰発現細胞核は、抗癌剤エトポシドおよびカンプトテシンによるアポトーシス誘導に高感受性化を示した。この際、ミトコンドリアの膜電位の低下が促進され、複数のカスペースが増強的に活性化された。一過性発現系による検討の結果、全長ATF3にはアポトーシス促進能が認められたのに対して、ロイシン・ジッパーを欠いた欠損体ではその効果は失われた。 以上より、ATF3はトポイソメラーゼ阻害剤によるアポトーシス誘導においてその初期過程に、カスペース活性化制御因子の発現をコントロールすることによりアポトーシス誘導促進に寄与することが示唆された。
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