研究概要 |
昆虫の脱皮・変態において中心的な役割を担う前胸腺刺激ホルモン(PTTH、カイコガBombyx moriの場合109残基、タバコスズメガManduca sextaの場合106残基からなるポリペプチド鎖のホモダイマー)の立体構造解析を、多核多次元NMR法により進めた。 非還元条件でのSDS-PAGE分析において、Bombyx PTTHに比べてシャープなバンドを形成するManduca PTTHを立体構造解析の標的分子として選択した。大腸菌BL21(DE3)を宿主とし、T7プロモータ制御系を用いて、^<13>C,^<15>N標識Manduca PTTHを生産した。封入体として得られた^<13>C,^<15>N標識Manduca PTTHを巻き戻した後、精製・濃縮し、NMR測定に用いた。各種^1H-^<13>C-^<15>N三重共鳴三次元NMR[HN(CO)CA,HNCA,CBCA(CO)NH,HNCACB,HNCO]を測定した。そのデータを基に、主鎖原子(^1H^N,^<15>N,^<13>C^α,^<13>C^β,^<13>C')の連鎖帰属を進行中である。これまでに、帰属すべき96残基(全アミノ酸残基数-Pro残基数-N末端残基数)のスピン系のうち34残基分を特定した。また同時に、帰属したアミノ酸残基スピン系の化学シフト値を用いて二次構造要素の分布を解析し、NMRデータに基づいたManduca PTTH分子の立体構造モデルの構築を進めている。
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