研究課題/領域番号 |
11143205
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 洋太 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (20260622)
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研究分担者 |
伊藤 嘉明 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80004612)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 染色体複製 / 転写因子 / ポリオーマウイルス |
研究概要 |
現在、転写因子が染色体複製の制御にもかかわることを示す結果が蓄積されつつある。ポリオーマウイルス(Py)はその染色体複製に転写のエンハンサー領域を必要とし、転写因子による染色体複製制御の良いモデル系となる。すでに我々を含むいくつかのグループがc-JunやGal4等の転写活性化因子がPy DNA複製を促進できることを示してきた。さらに、我々は核マトリクスに結合する転写因子PEBP2がPy DNA複製を促進し、その促進には核マトリクスにPEBP2が結合することが必須であることを示した(Chen et al.Mol.Cell.Biol.18,4165-4176(1998))。一方、真核細胞のDNA複製はBrdUの取り込みなどで可視化できるReplicaton Fociで起こる。このFocjは核マトリクス上に形成されDNA複製に必要な蛋白質を含み、「複製ファクトリー」と呼ばれる。そこで、PEBP2の各マトリクス結合と複製ファクトリー形成の関係を調べるために、蛍光免疫染色法と共焦点顕微鏡を用いた解析をおこなった。PEBP2とPy複製のイニシエーターであるT抗原の核マトリクス上での局在を調べたところ、どちらの蛋白質も核マトリクス上にドット状の局在を示すがcolocalizeはしなかった。しかしPy複製開始点とPEBP2結合配列を持つ複製の鋳型となるDNAをcotransfectionすると両者の局在が一致する。Pyが複製できるマウスの細胞ではさらに両蛋白質は大きなfociを形成するが、Pyが複製できないヒトの細胞では鋳型DNA依存的なcolocalizationは見られるが大きなfociの形成は起こらない。さらに、BrdUの取り込みがこのfociで起こることから、このfociは複製ファクトリーに相当するものと考えている。また、chromatin immuno-precipitation assayを用いてT抗原がPy複製開始点に結合するにはエンハンサーが必要であることを明らかにした。以上の結果は、転写因子がイニシエーターであるT抗原を複製開始点にrecruitし、そこでの複製ファクトリーの形成をうながしていることを示唆している。現在、この仮説を検証すべく解析を続けている。
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