全ての姉妹染色体のキネトコアにスピンドルが結合するまで染色体分配が抑えられるスピンドル形成チェックポイント機構が存在する。しかしスピンドル形成チェックポイントと姉妹染色体分配の分子メカニズムは全く解明されていない。本研究では主にスピンドル形成チェックポイントの制御因子の同定と、チェックポイントが解除された後の姉妹染色体分配のメカニズムの解析を試みた。1)Cohesinsの構成因子Smc1、Smc3、Rad21の特異抗体を作成し、細胞内局在を調べた結果、prometaphaseにおいてセントロメアに局在する可能性が示唆された。しかし抗体の種類によっては再現が取れないので、tagを付けた構成因子を強制発現させた系を用いて局在を確認している。2)Separinの強制発現系を用いてSeparinの細胞内局在とCohesinsとの関わりを特異抗体も用いて調べた結果、Separinは中心体に局在するがセントロメアへの局在は確認できなかった。しかしSecurinがセントロメアに局在することが判明し、Separin-Securin複合体が局在している可能性が示唆された。現在、SeparinによってCohesinsが分解される可能性を調べている。3)スピンドル形成チェックポイント因子Bub1、BubR2、Bub2、Bub3等のヒト遺伝子を単離し、特異抗体を作成し、蛋白相互作用やシグナルの流れ、各因子の機能解析を行っている。4)セントロメアに局在し姉妹染色体の分配の制御に関わっている可能性のあるショウジョウバエのMeiS332、Pinples、Three Rowのヒトホモログ遺伝子の単離を試みている。
|