研究課題/領域番号 |
11144221
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永渕 昭良 京都大学, 医学研究科, 講師 (80218023)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1999年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | αカテニン / βカテニン / タンパク質分解 / 翻訳調節 / PEST配列 / カドヘリン / Wntシグナル |
研究概要 |
αカテニンはβカテニンを介して細胞接着分子カドヘリンと複合体を作り、カドヘリン依存性細胞間接着の活性化や制御に機能している。一方で、βカテニンはWntシグナル伝達においても重要な役割を果たしており、このβカテニンに直接結合するαカテニンはWntシグナルにも影響を与えることが示唆されていた。これまで、αカテニンについては何らかの転写後調節機構が働いていることは示唆されてきたが、その機構や生理的意義は不明であった。本研究ではαカテニンの転写後発現調節機構とそれがWntシグナル伝達において果たす役割について解析を進めた。その結果、 1.αカテニン分子内には半減期の短いタンパク質によく見られるPEST配列が存在し、実際カドヘリンが発現していない細胞ではαカテニンタンパク質の半減期は数時間で、比較的短いことがわかった。しかしPEST配列を持つタンパク質の分解に関わると考えられるプロテアソームやカルパインの阻害剤ではαカテニンを安定化することは出来ず、これら以外の分解系の関与が示唆された。 2.5'非翻訳領域を除いたαカテニンcDNAを発現ベクターに組み込みカドヘリンを持たないL細胞に導入したところ、安定に多量のαカテニンタンパク質を発現する細胞が得られた。外来性αカテニンはそのタンパク質は内在性の物と同程度に分解されており、かつそのmRNAのレベルは内在性の物よりも低かった。これらの事実から多量のαカテニンタンパク質の発現はその翻訳効率の上昇によるものと推定された。また、このαカテニン高発現系はカドヘリン系に影響を与えることなくWntシグナルを阻害する新しい実験系になる可能性を示した。
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