研究課題/領域番号 |
11144234
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
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研究分担者 |
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | マトリックスメタロプロテアーゼ / 一酸化窒素 / パーオキシナイトライト / 組織破壊 / 組織修復 / グルタチオン |
研究概要 |
昨年までの研究により、一酸化窒素(NO)と活性酸素(スーパーオキサイド、O^-_2)の反応生成物であるパーオキシナイトライト(ONOO^-)が、炎症の場において重要な生理活性を有するmatrix metalloproteinase前駆体(proMMP)を活性化し、さらにこの現象が、還元型グルタチオン(GSH)により調節されることを見出した。そこで本年度は、その活性化メカニズムの解析を行った。[^<35>S]GSHを種々の濃度のONOO^-と一定時間反応した後、精製した3種類のヒトproMMP(proMMP-8,-9,-1)と反応させ、その結合をfluorographyにより解析した。その結果、[^<35>S]GSHをproMMPとincubationするだけで両者は結合したが、活性化は見られなかった。これはdithithreitol(DTT)にて容易にはずれることから、単なるSS結合と思われた。一方、ONOO^-が存在する場合、proMMPの活性化がみられ、さらにその結合はDTTにては解離しないことから、SS結合以外の何らかの非可逆的な共有結合がおこっていることが示された。さらに、HPLCおよびtime-of-flight mass spectrometerにより本反応のproduct analysisを行ったところ、比較的安定な反応産物としてニトログルタチオン(GS-NO_2)が同定され、さらに、別途に化学合成したauthenticなGS-NO_2はproMMPを強く活性化した。このことは、ONOO^-とGSHの反応により生じるGS-NO_2が、proMMPのautoinhibitory domain内のPRCGVPD配列中のシステイン残基を攻撃し、通常のジスルフィドとは異なる結合(-S(=O)-S-など)を形成することにより不可逆的で強力なMMPの活性化をもたらすことを示唆している。以上の知見より、グルタチオンのユニークなMMP活性化機構が明らかとなった。
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