研究課題/領域番号 |
11145203
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
蔵田 潔 弘前大学, 医学部, 教授 (30170070)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 大脳皮質 / 運動前野 / 頭頂連合野 / 運動学習 / プリズム適応 / ニューロン活動 / 神経回路 / マルチレコーディング |
研究概要 |
ヒトやサルが行う上肢による到着運動は、シフトプリズムを装着することにより視覚空間座標と運動座標との間に解離が生じても、10-20回の試行で正確に目標に到着することができる。しかもこの運動学習にはプリズムの着脱毎に、極めて高い再現性のあることが確認されている。このような運動学習に大脳皮質運動前野腹側部が重要な役割を果たしていることが明らかにされている。本年度の研究では、この目標点への手到達運動のプリズム適応が運動前野腹側部内およびその周辺の神経ネットワークにおける信号伝達の変化によって達成されるという仮説を立て、運動前野腹側部および同領域に出力する高頭頂皮質から単一ニューロン活動の多点同時記録を行うことで検証した。 これらの領域の運動関連ニューロンなどのいずれもプリズム適応中に特異的な発火を示すものはほとんどなかった。しかし、ニューロン間の相互相関を解析すると、プリズム適応中に特異的にスパイク後促通を示すニューロン対が存在した。これらは特に運動前野腹側部内の運動関連ニューロン間である場合が多数であった。一部は運動前野腹側部内の運動関連ニューロンとそれ以外のニューロン、および運動前野腹側部と後頭頂皮質の運動関連ニューロン間で認められた。後頭頂皮質の運動関連ニューロン以外のニューロンはいかなる他のニューロンともスパイク後促通を示さなかった。 このことは運動前野腹側部の神経ネットワークにおいて、シナプス伝達効率の変化がプリズム適応に関わっていることを示すものと考えられる。これまでの研究により、運動前野腹側部には視覚座標系を反映するニューロン群と運動座標系ニューロン群の存在することが知られているが、これらニューロン群間の結合性が変化することによってプリズム適応が達成されると考えられる。
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