研究課題/領域番号 |
11145222
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 克樹 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (70243110)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 視覚 / 側頭葉 / 認識 / 顔 / 風景 / サル / ヒト / 神経細胞 |
研究概要 |
ヒトとサルを対象に、大脳皮質側頭葉のの視覚認識における役割を調べた。1)サルにおける電気生理学的研究。注視課題を行っている間に視野のさまざまな位置にスリット・正方形・円などの単純な図形と顔や果物などの複雑な写真を提示し、a)受容野の性質、b)方位選択性、c)方向選択性、d)色選択性、e)図形選択性の観点から、側頭葉前腹側部前方(側頭極および嗅周囲皮質)と後方(海馬傍回)の神経細胞の視覚応答性を比較した。結果、I)側頭極・嗅周囲皮質の神経細胞は単純刺激に十分な応答を示さないものが多い。II)側頭極・嗅周囲皮質の神経細胞は海馬傍回の神経細胞に比べ特定の複雑な刺激に応答する傾向が強い。III)海馬傍回の神経細胞はより空間情報(動きの情報や眼球位置の情報)に関与している。これらの結果から、側頭葉前腹側部の前方と後方ではその機能に差があることが示され、前方部(側頭極および嗅周囲皮質)はより複雑な形の知覚・認識に、後方部(海馬傍回)はより空間情報に関与していることが示唆された。これらの結果はこれまでの神経心理学的データを指示するものである。2)ヒトにおけるイメージング研究。ヒトにおいて顔(複雑な図形)の認識や風景(より空間情報に関与した図形)の認識に関わる領域を同定し(PET)、さらにその情報処理の時間的特徴を調べた(NEG)。結果、顔も風景もともにまず後頭葉で処理され、次に顔は下側頭回/紡錘回で風景は海場傍回と頭頂-後頭境界部で特異的な処理がなされ、最終的に両者とも側頭極で認識されるという結果を得た。また、紡錘回での顔の処理は刺激提示後160ミリ秒で行われるのに対し、海場傍回と頭頂-後頭境界部での風景の処理は200〜300ミリ秒付近で行われ、時間的にも両者の処理に差があることが示された。これらのイメージングの結果も海馬傍回はより空間情報に関与していることを示唆していると解釈できる。
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