研究概要 |
【当初の研究目的及び結果】 フェブリフジンやイソフェブリフジンをリード化合物とし、よりシンプルな構造を有する化合物を合成し、その抗マラリア活性を調べることにより、未だにはっきりしていないフェブリフジンの構造活性相関の研究の一助とする目的で、キナゾリン-4-オン、キナゾリン-2,4-ジオンを基本骨格とし、その3位にジメドン、イソフォロン、プレゴン、カルボンといったモノテルペンケトン類を中心とした置換基を導入した化合物を40種類以上合成したが、いずれも抗マラリア活性には認められなかった。この結果は、フェブリフジンの活性発現にはキナゾリン-4-オン環以外にはβ-ケトプロピル部位及びピペリジン環の窒素部位が必須であるとしているAminらの報告を裏付けるものでしかなく、それ以上のポジティブな結果は得られなかったため、同時並行で行っていた以下の研究についても報告したい。 【第四級アンモニウム塩をダイマー化した化合物の抗マラリア活性の検討】 新規抗菌剤を目指して合成した、第四級アンモニウム塩をダイマー化したN,N´-ヘキサメチレンビス(4-カルバモイル-1-デシルピリジニウムブロマイド)誘導体の熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)に対するin vitroでの活性を検討した結果、そのうちの一つに選択毒性580倍(p.falciparum;1.0x10^<-8>,FM3A;5.8x10^<-6>)の強い活性が認められた。しかし、この化合物とはアミド結合間のメチレン鎖の長さやN-アルキル鎖の長さを異にする誘導体では、選択毒性は1/20-1/100に低下していた。更に、アニオン部位をヨウ素イオンから臭素イオンに変換しても、抗マラリア活性に大きな差は認められなかったが、臭素イオンから酢酸イオンに変換する事により、選択毒性が4倍程度強まった。
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