研究概要 |
1.S6キナーゼノックアウトマウスの解析:S6K1ノックアウトマウスにおいて,免疫抑制薬ラパマイシン感受性のS6のリン酸化が認められたことから,新規のS6キナーゼ(S6K2)の存在が明らかになった。この遺伝子欠損のフェノタイプを明らかにするためにS6K2欠損マウスを作製した。 2.カルシニューリン活性の測定法の確立:免疫抑制薬のターゲットであるカルシニューリンはその酵素活性の不安定さにより細胞抽出液における活性を正確に測定するのは不可能であった。抗酸化剤のアスコルビン酸存在化下で,protein phosphatase inhibitor-1を基質に用いることにより,正確かつ感度よくカルシニューリン活性を測定することが可能になった。 3.アポトーシスとセリン/スレオニンホスファターゼ(PP)の関係: PPの阻害剤がT細胞のアポトーシスを誘発することが知られている。阻害剤の誘導体を用いて以下のことが明らかにあった。 1)PPの阻害に関わる部位とアポトーシスに関わる部位が別々に存在する。 2)C8の酵素にbenzyloxymethy基を持つスピロケタールは強力なアポトーシス誘導作用をもつ。 4.内在性のセリン/スレオニンホスファターゼ(PP)阻害タンパク質の解析: PP1阻害蛋白のNIPP-1が,3種類のPPIのアイソタイプとin vivoで結合することが明らかになった。 5.新規二重基質特異性ホスファターゼ(DSP)遺伝子の単離と解析: DSPはその構造の類似性からMKPファミリーとCDC25ファミリーの2つが知られているが、その2つのファミリーに属さない新しいタイプのDSP遺伝子を単離した。
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