研究概要 |
本研究は、胸腺細胞のネガティブセレクションにおけるミトコンドリア依存性アポトーシス機構の関与を解明することを目的とする。ミトコンドリア依存性アポトーシスにおいて重要な役割を果たすApaf1の欠損マウスを用い、これをオス抗原(H-Y抗原)特異的T細胞受容体を発現するトランスジェニック(H-Y TcR Tg)マウスと掛け合わせ、特定のT細胞受容体を持つT細胞の生理的刺激による細胞死におけるApaf1分子の役割を解析した。 1)Apaf1欠損マウスの胸腺細胞数 Apaf1欠損マウスは胎生致死であるため、胎生14-18日の胎仔より胸腺を得てその解析を行なった。Apaf1の存在の有無による細胞数の差は、グループ間(H-Y TcR Tg陽性オス同士、メス同士の比較、また陰性群内での比較)で認められなかった。これは、少数得られたApaf1欠損新生仔マウスにおける胸腺細胞数の既発表データと一致し、Apaf1欠損マウスでは腺細胞数の増加が生じないことが確認された。 2)Apaf1欠損マウスにおけるネガティブセレクション 解析例数が少ないため明確な結果は得られていないが、これまでの解析によりApaf1欠損マウスにおいてもネガティブセレクションは正常に行われていると考えられる。すなわちApaf1を持たないオスにおいてもH-Y TcR Tg^+CD8^+細胞の成熟が抑制されていた。 今後,さらに詳細な解析を進める一方,H-Y抗原以外の抗原,例えば最近由来スーパー抗原によるネガティブセレクションの解析等も加え,さらにカスパーゼ阻害剤の効果なども重ねて解析していく予定である。
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