研究概要 |
独自に作製したシロイヌナズナのアクティベーションタギングラインから、葉のクロロフィル含量低下と葉での糖応答性遺伝子の発現制御が異常になった突然変異体 uns を単離し解析を進めた。 uns1 遺伝子座は4番染色体上の DNA マーカー GA1 近傍に位置することを明らかにした。劣性の変異株 uns2 はエチレン応答性変異株 hookless1 (hls1)のアレルの一つであることを明らかにした。半優性でgain of function の変異株と推定される uns3 では、 EST クローンに対応する遺伝子で粘菌の翻訳開始複合体のサブユニットの一つに相同性が高い遺伝子がエンハンサー近傍に存在することを明らかにした。劣性の変異株 uns6 は、酵母で転写開始複合体形成に関わる因子に相同性を示す遺伝子内のに T-DNA の挿入が見られた。マーカーとして用いるβ-アミラーゼやアントシアニン合成系の遺伝子(Atβ-Amy,CHS)デンプン合成系遺伝子(AGPaseS)の糖応答性発現制御をグルコースアナログなどを用いて解析した。Atβ-Amy の糖誘導性発現には、糖供給によって引き起こされる細胞内リン酸飢餓とグルコース6リン酸(G6P)より下流で起こる糖代謝やエネルギー代謝の変動の両方が必要である、CHS と AGPaseS の糖誘導性発現には、 G6P レベルの上昇と G6P より下流で起こる糖代謝やエネルギー代謝の変動の両方が必要である、などの可能性を示唆する結果を得た。 uns1,uns2,uns3,uns6 を用いて、Atβ-Amy,CHS,AGPaseS,RbcS,Cab,PorB などの糖応答性遺伝子発現制御を解析し、UNS1 と UNS3,UNS6 遺伝子は、糖応答性遺伝子発現制御の情報伝達系で互いに近い位置でそれぞれ、正と負の制御に動くことを明らかにした。UNS2 は糖の輸送もしくは細胞内への取り込みを負に制御している可能性が考えられる。
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