研究課題/領域番号 |
11152212
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上村 匡 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80213396)
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研究期間 (年度) |
1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | Argonaut1 / 葉 / 翅脈 / ゴルジ体 |
研究概要 |
ショウジョウバエの翅をアッセイ系に用いた遺伝学的アプローチにより、新しいパターン形成遺伝子を探索したところ、シロイヌナズナの葉や花の形態を調節する遺伝子AGO1(Argonaut1)のホモログ(dAGO1)を発見した。AGO1ホモログ(ortholog)や類縁遺伝子は、植物界および動物界において広く保存され、しかも単一種内においてファミリーを構成している。AGO1スーパーファミリーに属する分子間のアミノ酸配列の比較から、カルボキシル末端側に機能上重要なドメインが存在することが示唆されたが、アミノ酸配列からでは分子機能は推測できない。dAGO1は発生を通じて広範囲に低レベルで発現している,このdAGO1を翅脈L3とL4の間で過剰に発現させると、その二つの翅脈を繋ぐanterior cross vein(ACV)が欠失した。遠近軸方向に走る翅脈の形成機構の研究に比べ、cross veinの誕生に関する分子機構はほとんど明らかにされていないが、dAGO1発現の効果はHedghogレセプターの過剰発現が起こす異常とよく似ており、dAGO1はHedghogシグナル伝達に関与する可能性がある。dAGO1遺伝子の機能喪失型変異は胚性致死を招き、神経発生においては幹細胞誕生後の細胞系譜の異常(分裂回数の減少あるいは細胞死)が起きているらしい。内在性のdAGO1タンパク質の細胞内局在を調べる目的で、野生株胚のタンパク質を分画したところ、可溶性画分に濃縮されてきた。組織染色では内在分子のシグナルは検出できなかったが、過剰生産された分子は細胞質に分布した。最近AGO1の哺乳類ホモログがゴルジ体か小胞体に局在する分子として報告されたので、dAGO1もそれらの細胞内小器官に存在し、機能を果たす可能性が高い。
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