研究概要 |
アフリカツメガエルのシュペーマン・オーガナイザーに特異的に発現するLIMホメオドメイン蛋白質Xlim-1はオーガナイザーおいて重要な役割を担っている転写因子であり、ホメオドメインのN末側に存在する一対のLIMドメインは負の制御ドメインとして機能することが示唆されている。本研究ではXlim-1の活性化機構を明らかにするための基礎として、LIMドメインによる自己抑制機構と転写因子間相互作用についての検討を目指した。(1)酵母two hybrid systemによる解析:Xlim-1を4領域(AB,L60,HE,CT)に分け、種々の領域あるいは全長Xlim-1をGAL4-DBD(以下DBD)またはGAL4-AD(以下AD)に融合させたものを用いて相互作用を検討した。その結果、いずれの組み合わせでも強い相互作用を示す結果は得られなかったが、ADとホメオドメイン(HD)を含む領域をもつ融合蛋白質はHDによると考えられる弱いガラクトシダーゼ活性を示し、その活性がDBD-ABLHDおよびDBD-ABL60により抑制されることがわかった。このことからABL60の領域(LIMドメインとリンカー部)がHDのDNAへの結合を抑制したことが考えられた。(2)GST pull down法による解析:直接的な蛋白質結合を検討するため、GSTとXlim-1の各領域との融合蛋白質と[35S]標識したXlim-1あるいは各領域を用いて解析を行った。その結果、ABL60の領域は、HD27(HDとそれに続く27アミノ酸)に直接結合することが示された。この結果は酵母two hybrid systemで示唆された結論と良く一致している。したがってLIMドメインによる自己抑制機構は分子内相互作用によると考えられる。(3)転写因子間相互作用の検討:FLAGダグXlim-1をアフリカツメガエル胚に発現させ、その胚抽出液を用いてEMSAを行った。その結果Xlim-1の結合部位UEを含む標識オリゴDNAでDNA-蛋白質複合体のバンドを得た。標識しないUEオリゴよる競合的阻害と抗FLAG抗体によるsuper-shiftにより、Xlim-1が特異的にUEに結合することが示された。この系が確立したことより今後転写因子間の相互作用の検討が可能となった。
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