研究概要 |
ショウジョウバエdTAF230/出芽酵母yTAF145はその末端側約70アミノ酸残基から成る領域にTBP機能阻害活性を有する。またこの活動領域(TAND;TAF N-terminal domain)は機能的に異なる二個の小サブドメイン(TANDI,TANDII)に分割されるが、TANDIと酸性型の転写活性化ドメイン(AD)はいくつかのアッセイ系において互いに交換可能(機能的に等価)である。一方、転写活性化において重要な役割を果たすとされる基本転写因子TFIIAは、TBPとの結合においてTANDIIに対して競合的に作用する。他のグループによるこれまでも知見を考え合わせて、新たにTFIIDの異性化モデル(ハンドオフモデル)を提唱した。 またyTAF145の種間保存領域にランダムに変異を導入し、二種類の温度感受性変異株(N568Δ,T657K)を得た。両変異株について独自に開発したin vivo転写系を用いて詳細な解析を行い、(1)RPS5,TUB2遺伝子等のTATA-lessコアプロモーターの認識能に異常が認められること、(2)コアプロモーターの種類によってTATAボックスの挿入により転写が回復するものとしないものが存在することなどを見出した。現在これらの変異株を用いて、認識できなくなったDNAエレメントを正確に決定するべくマッピングを進めている。
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