研究概要 |
細胞内で観察される転写活性化を反映する核抽出液の調製法と試験管内転写系を用いて、強力なVP16活性化ドメインに特異的なコアクチベーターの精製を試みた。従来のDignam法によらずLow Salt法(Ikeda, K. & Meisterernst, M)により調製されたHeLas核抽出液にVP16H1ドメイノ(転写活性化ドメインN末部分)に依存的な活性が再現性よく観察された。コンベンショナルなカラムとアフィニティカラムを使用し、その活性を担う因子を同定、PC6-MOVE(Positive Cofactor No.6-Mediator of VP16 enhancer)と名付けた。PC6-MOVEは既知のgenaral positive cofactor (USA fractionから精製、クローニングされたPC1, PC2, PC3, PC4, PC5, NC1, NC2)ではないこと、SRC-1等の既知の転写因子特異的コアクチベーターやコアクチベーター複合体であるARCおよびTRAP/SMCC6との異同を生化学的・免疫化学的に明らかにした。一方、VP16H2ドメイン(転写活性化ドメインC末部分)にはヒストンアセチルトランスフェラーゼ活性を有するコアクチベーターp300/CBPが直接相互作用することにより、特異的転写活性化がおこることを明らかにした。p300/CBPとの相互作用に必須のVP16側の3つのアミノ酸と、VP16H2ドメイノとの相互作用するp300/CBP側の部位を同定した。P300/CBPはクロマチン鋳型DNAからの転写に必須であることを確認した。以上の結果よりVP16の強力な転写活性化は、従来報告されている基本転写因子とPC6-MOVE、p300/CBPとの協同作用によると結論した。
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